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犬には犬の世界があって「ビッグ作家 究極の短編集 白土三平」(白土三平)
2010/02/08 [Mon]09:01
古書店でサルベージ。大家のビッグコミック作品から編む作品集で、自分はほかに水木しげるも持ってたはず。石ノ森章太郎もか?

メッセージ性や世界の捉え方はどうあれ、形式では忍者漫画で有名な作者なので、収録作品も忍者ものが多い。
「忍法秘話」から「スカルの死」のように、忍術おそるべしな作品も収録しているけれど、忍術の技を軸に戦闘シーンを描きつつ、技だけで人生はたちゆかないペーソスがあるのは、期待どおり。
「遠当」なんて、達人が群衆にボコられてエンドだよ。
解説まで入れて忍術、力の仕組みを明らかにしつつ、さくっと転ばせる。

で、「究極の」と冠した短編集だけに、現れる作者の個性ってなんだろう。
簡単すぎる言葉だけど、「どう生きるか」かな。生きるためにもがくこと。
それは他人を犠牲にすりことかもしれないけど、人は生きねばならない。一生懸命じゃないことに冷たい。
クールでもハードボイルドでも熱血でもないけど、かっこいい生き様であるな。

しかし、一生懸命のつもりが犬には通じてなかったという「野犬」も収録してるんだよなぁ。
もがく人間にも傲慢さの指摘を忘れない。
長編で読まないといけない作家性だと思った。さくっと指摘されると戸惑う。じっくり向き合いたい人生観だ。

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全編作者による解説付き「真田剣流」(白土三平)
2007/10/23 [Tue]11:03
近所でやってた古書市で古い小学館文庫3巻セットで400円。作品的にも黄ばみや傷みは味わいだ。

白土三平は「カムイ伝」しか読んでないのだが、2巻の作者あとがきによれば、「真田剣流」は「忍者旋風」のうち「風魔忍風伝」の続編、とある。それで登場人物が多めなのかもしれない。特殊能力を持った人たちによる戦いですな。

一応の理屈がある忍術、というのはお約束だが、これはそのまま殺人術の謎が話を引っ張っていく。油断して読んでるとなんで戦ってるのかわかんなくなるが、まあ忍者とはそういうものだ。

「カムイ伝」もそうだったが、コマの合間にト書きというか、作者による状況説明、忍術の解説が入ったりする。雑誌掲載時に広告とか前回までのあらすじがあったと思われるスペースだろうか、特に話の流れに沿わずに「忍術道具いろいろ」みたいな囲みがあったり。
DVDでいうと監督による解説コメンタリー付きで見ている感じだ。ああまで丁寧ではないし、活劇シーンに水を差すものでもないけど。

おかげさまで非常に読みやすい。今の漫画だと説明は作中人物がやることになるのはなんでだろ。語り手が外にいちゃいけないのは不思議だ。いつから切り替わったのか。平田弘史の時にもあったから、(語られながらにして過去である)時代劇だけの手法なのか。

でも「この術の説明をする予定であったが省かざるを得なかったことをおわびする」ともあったりして、あくまでもストーリー展開ありきでページを割っていたのだなぁ。解説はあくまでオマケですよと。読んでるとあって当然の気分になるから「隠すなよ!」とか思っちゃうのだが。

いやしかし、文庫サイズでぐいぐい引き込まれる画力は単純にすげぇ。いい密度。濃すぎないしサクサクでもない。これは過去の名作、大家のものを読んでるんだからという色眼鏡かなぁ。

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