2007/12/18 [Tue]08:39 河合克夫、上野謙顕太郎、しりあがり寿の原作を「やさしいからだ」「あのころ、白く溶けてく」の安永知澄が漫画にするコラボ作品。帯にあるとおり「おっさん達が若い娘をもてあそんでいる」。 オヤジが指定した御無体な展開を素直に漫画化する若手女性作家、というだけでくすぐられますな。そう思った人はオヤジ側の立ち位置。
79年生まれの女性漫画家だし、絵柄もやわらかくてかわいいし、なにしろ「やさしいからだ」までは繊細でリリカルな世界を丁寧に描いてきた安永知澄であるのだが、振られたお題の角度といったら。 お父さんの異様な食欲とか、国技館でのファーストインプレッションとか、さなぎがなにに羽化するかとか、そんなネタを淡々と描き切る。(ネタばれなしで書きづらいな) こんな大がかりなジョークみたいなの私の作風と違います!みたいな抵抗感をみじんも抱かず、いい仕事をしている。
これまでの作品から普通に考えると「カノン」での、大人と子どもと、そして成長と……というスジが合う、と思ってしまうが、はたしてそうか、と考えてみる。 「やさしいからだ」でも突拍子のない設定や仕掛け(第一話の「笑いのデキモノ」からして)は出てくるし、痛みや怒り、くだらなさ、すれ違いという負の要素をざくっと出しちゃう人でもある。 ダメ男、ダメ女も出てくるしな。そこの、むやみに優しさでくるまないところが男性的、オヤジ的な人ではなかったか。年齢の割に夢がない視点を持っているというか。
オヤジの悪のりに対し、結構、楽しんでたのかもしれない。
→少女もおっさんも出てくる連作の読みログ この体温を得るために「やさしいからだ」
→デビュー作を含む短編集の読みログ 好きでピントが合ったわけ「あのころ、白く溶けてく」
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テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック
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