07« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»09
読んだ漫画単行本をひたすら記録。読んだ端から。
ブログ内検索

プロフィール

mangalog

Author:mangalog
自由業。07/03/23以前のものはストックからのもの。
全記録にするためのフォーマット作成を思案中。
カテゴリを作者名にしてみたらなんだか冗長なことに。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

スポンサーサイト
--/--/-- [--]--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告  |  TB:--  |  CM:-- | 編集
何かを待ち続けていたの心だった「夏の雲」(菅野修)
2009/08/23 [Sun]09:40
借りて読む。
奥付によれば480部限定。4800部じゃなくて480部だ。500部刷って20部は自分用、なんだろうか。
とにかくすごい小部数だが、バーコードが付いていてAmazonにも並んでいる。

なんの予備知識もなしに読んでみたので、表紙からしてヘタウマ鬼才を予想はしてたものの、そんな枠組みが通用しなかった。

短編集で、冒頭の数編こそトンデモない絵柄でマッタリした逸脱と妄想が絵柄れている。
場面展開もあるし、フリとオチってほどでもないけど、出かけてたどりつくとか、区切りがあってわかりやすい。

ところが「キスの味」になると、妻(?)の死体からカツラ(アデランズ)を作って女装し、被レイプ願望に耽るという語りに翻弄されるのみ。
このように後半はモノローグの作品が多く、詩的で幻想的で、良くも悪くもついていけない。
前半のヘタウマギャグみたいなのも、後半の詩的モノローグも、確信を持って描いてるのだな。振り返れば。
ヘタウマとかナンセンスとかシュールというのは普通があるからのモノサシで、作者と作品を取り出せば関係ない。作品だから当然、なんらかの確信を込めて生み出されている。

・・・・ん、だよな。と、とにかく圧倒されてしまった。なにこの説得力。居直り強盗に説教された気分。
面白いとか、買い集めちゃうとか、生きざまに憧れるとかじゃないけどさ。


表題作の「夏の雲」は、天然ヘタウマの作品としても面白く(だって勝手NPOですよ)、暑気にアテられた妄想の味つけもあり、かつ、展開があって、爽快な作品。

もっとも読みやすい。
きっと、脳内の編集者がうまいこと仕事したんだな。

忘れられない作品にはなった。

夏の雲 菅野修作品集夏の雲 菅野修作品集
(2009/06)
不明

商品詳細を見る

スポンサーサイト

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

理解と共感のマイトレーヤを「玄奘西域記」(諏訪緑)2
2009/08/22 [Sat]10:13
続けて2巻を。

兄のオマケだったはずの玄奘が僧として成長していく。
教養や形式に苦手意識があったのだが実は実力十分で、かつ自由な心根で素直に学ぶという最強ぶり。

宗教は政治に飼われている、利用されている、経済的ではないという批判を、「心の拠り所だから」「宗教あっての人々、人々あっての政治だ」と退けるのだが、努力、苦労してきた玄奘だから言えること。
いきなり「心の拠り所なのです」とか言われたら、ただの楽観的なバカだからな。

職業的でない宗教家は思想の芸術家なので、真顔で100年後、300年後、1000年後のことを語っていい。(才能と努力は必要だが)
その言葉に対して、今日、今月、今年に役立たない、目の前の人に届かないという批判は通じないのだよな。

思えば作品当初からこの問いは繰り返されてきて、玄奘がそれを克服するって話だ。
やっぱり、物語の構成が練りこまれているなぁ。破綻ないというか、読んでいて計算とバランス感覚が気になりすぎるのが残念だ。
綿密なリサーチに基づいた、丁寧な作品である魅力とどっちを取るかってことなんだけど。


2巻の前半から、玄奘についてはなにも心配がなくなって、ドラマ的な部分のカギとなるのは同行者のハザク。
もうどこから見てもBLである。若い僧侶と亡国の王子のカップル。
(そういう描写はないけどね)
クライマックスに向けてためらいも消え、脱ぐわ抱き合うわ。

これもまた、成長した玄奘だからこその行為なんだと思える、よね。

面白かった。はずれのない作風の人だと思うから、見つかったら孔明のも読もうかな。

玄奘西域記 (2) (小学館文庫)玄奘西域記 (2) (小学館文庫)
(2000/01)
諏訪 緑

商品詳細を見る

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

教典だけ持ちかえっても「玄奘西域記」(諏訪緑)1
2009/08/21 [Fri]09:55
「漫画原論」で西遊記を題材にした漫画の変遷というか幅について割かれたパートがあり、それをきっかけに読む。
Amazonでプレミアついてたんで、ブックオフオンラインで買ったのだけど、あそこ、新刊も扱ってるんだな。1500円以上なら送料無料だし、Amazonで尽きてる本を探す手にいいかも。


西遊記といえば三蔵法師が孫悟空ほか妖怪をお伴に天竺まで教典を取りに行く話。
思えば「取りに行ってどうなったのか」は、知らない。行く途中の妖怪退治しか印象にないぞ。
旅はどうだったんだ、教典を持ちかえってどうするんだ、というモヤモヤについて、「玄奘西域記」は応えてくれる。

絵柄こそ柔らかく繊細、もっといえば少女漫画まるだしなのだが、突きつけるテーマは「政治と癒着する宗教」「排他的な暴力となる宗教」「ひとりの少女すら救えない自分たち」と、重い。
そもそも天竺に着いて教典を書き写し持ちかえるという、行為自体への疑問が噴出してしまう。

そこで救いになるのが「玄奘が(ちゃんとした)僧ではない」という設定で、玄奘は「わかってないから考える」「理想をかざしてぶつかる」主人公の役目を大いに果たす。
拝火教の衰退に仏教の行く末を暗示し、天竺に着いても教えの無力さや暴力性に絶望していくという、かわいい顔してキッチリ段階を追って深まって行く構成がすごいってか、これ全部見通してから描いてると思う。
人名地名用語についてもガチだし、作者のリサーチ&エディットのこだわりは半端じゃない。
(逆に計算されすぎてる感もあり、整ってるがゆえの驚き減もあるのだが)

1巻の段階での光明は、プラジュニャーカラの示す「わかりやすい教え方」だ。
教えの核の部分を変えずに、伝え方を変える。生活に取り込む。
そこがヒントだな。きっと。

というわけで2巻も続けて読む。面白い。

しかし、兄の本格僧・長捷の抽象的なことといえば、なんだ。
良き仏教僧の記号なのか。重要な役なのに、どうも生きてる感じがない(と思ってたら記号をまっとうして退場するのだが)。
美男美女は描けてもオジサンが描けないってのは、少女漫画らしさの難しいところだ。

玄奘西域記 (1) (小学館文庫)玄奘西域記 (1) (小学館文庫)
(2000/01)
諏訪 緑

商品詳細を見る

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

空也喰わず「天然の馬鹿力」(ほりのぶゆき)
2009/08/20 [Thu]09:45
古書店で発掘。いろんな雑誌でちょこちょこ見かけるけど、単行本は持ってなかった。
いろんなシリーズが入ってるというか、4コマやショートギャグ作家の本はそうなるか。

表紙の原始人は「エコロG」というエコ原理主義者の揶揄ネタで、91年の掲載時にしてすでにエコへの懐疑はあったよな。
現在はCO2とか温暖化とか、数値化されたのが現在なのか。

このように時事ネタも多い漫画だけど、この熱血空回り感は好きだな。一冊持ってたい。
歴史もの、特撮少々、新幹線、漫才とか、男子が好きな題材を使うんだよな。
作者は時代劇が大好きなんだっけ。
でもわかんない人にはわからないんじゃなくて、空回りギャグだから成立する。読めるはず。

一歩間違うとベタなんだけど、しれーっと、堂々と空回ってるんだよな。「素浪人の浪人生」とかさ。
「新幹線」のネタで「飛行新幹線」まで至ったのが大好き。展開読めたけど、それでも面白い。


「タテノリ」のシリーズでは、ほかの漫画家の作風パロディをやっている。
唐沢なをきの得意技かと思ってたけど、いろんな人がやってるのかな。

というわけで、機会があればもっと読みたいけど、まとめて一気に集めようとか、そういう感じもしない。
和田ラヂヲと同じく、購読雑誌に載ってるとうれしい作家だ。

天然の馬鹿力 (Bunka comics)天然の馬鹿力 (Bunka comics)
(1993/07)
ほり のぶゆき

商品詳細を見る

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

なんつー独創的な演奏!「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子)22
2009/08/19 [Wed]09:22
悪魔ミルヒーの誘いを受けて、のだめ復活。
前巻ラストの怪しい感じそのままに、見事な演奏で喝采を得ても、解決にはならないのであった。

主人公が特殊能力を発揮して、それが認められて。
流れでいえば最高の恍惚に読者を乗せて、でも違う。

凡人からすると、得意なピアノで海外留学もして、著名な指揮者と大喝采を浴びるってのはさ、十分に幸せで、普通の漫画ならそこを目指すんだけど、のだめはそうじゃない。
知ってて読んでるつもりでも、オクレール先生の指摘を読むまで、うっかり忘れてしまうのだよな。
千秋も「いい演奏ができればいい」普通の感覚だから、すれ違う。

えーと、根本的に相性、大丈夫か。
思えばこの漫画で、のだめと千秋の恋愛って、こう、バキっと規定されるような展開って、いつだったっけ。
学生時代の恋人と、すれ違うのも社会人よね。

まだまだ読ませるなぁ。もう単純なクラシックギャグではとうにない。

DVD付き初回限定版『のだめカンタービレ』第22巻 (講談社コミックスキス)DVD付き初回限定版『のだめカンタービレ』第22巻 (講談社コミックスキス)
(2009/08)
二ノ宮知子

商品詳細を見る

のだめカンタービレ #22 (講談社コミックスキス)のだめカンタービレ #22 (講談社コミックスキス)
(2009/08/10)
二ノ宮 知子

商品詳細を見る


テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

理解されるなんて…っ!「鋼の錬金術師」(荒川弘)23
2009/08/18 [Tue]09:04
ぶっちゃけ飽きて来た時期もあったけど、読んでてよかったこのテンション。
ホムンクルス側の目的、主人公側のメンバーが出そろって、オールスターでクライマックスしている。

今回の大きなバトルは2つで、一方は引き分け(またかよ!)だが、もう一方はカタがつく。
国家とか戦争とか、兵器とか生命とか、でっかい看板はあれども、基本的に自分のため、身内のために体を張るのがヒロイックであるな。
人間の限界と、だからこその良さを、ベタを恐れずに正面から描いて、だからこそ、伝わってくる。
人殺しへの覚悟や葛藤もある。だから許さないけど殺さない。
きれいごと言わなきゃ少年漫画じゃないよ。

すごいなぁ。重たい題材をアクションとギャグ交えて、多くの人に読ませている。


見どころはアームストロング姉弟の共闘と、大佐の圧勝ぶり。焔、強すぎる。
アルの戦いを見ていて、自分そっくりの鎧を作るセルフデコイの戦法は使えないのかなと思った。金属が足りないのか。


でさ、盛り上がってるところなんだが、エド、活躍してないよね?
大総統とやりあうのもロイだろうしさ、ホーエンハイムが出てくるまで脇役なのか。かわいそうに。

鋼の錬金術師 23 (ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 23 (ガンガンコミックス)
(2009/08/12)
荒川 弘

商品詳細を見る


テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

やはり忍である「Gの影忍」(こやま基夫)
2009/08/17 [Mon]09:59
昔は「おざなりダンジョン」を読んだなーと思いつつ、古書店でサルベージ。
ガンダム関連の本だかで、存在は知っていて、いつか読もうと思ってたんだった。

買ったのは90年のピュアサイバーコミックス版。発行はバンダイ。
SDガンダムが人気で、武者だのナイトだのが出て来てたころ?
最近は2005年にメディアワークスから復刊してたのか。


ガンダムで忍者漫画をやるという、外伝にしてもぶっ飛びすぎてる話。
確か、講談社の公式百科でも「漫画は省く」とされていたと思うが、この作品とか、「Vガンダム外伝」とかはさすがに含められないってことだよな。

で、内容はというと、面白いんだけどガンダムを知ってないとまったく面白くないだろうってこと。
正史で語られない(まさに外伝)忍の者の末路など、盛りつけも忍者漫画。
ツボを押さえてるから、懐かしい漫画として読める。

ミノフスキー隠れの術、隔壁がえし、大気圏突入のイズナ落としの大技から変装など、古典的な忍者漫画の忍術をモビルスーツが駆使する。
ビームサーベルを生身の人間が白刃取りなんてのはGガンダムを先取りしてるよな。
そもそもGガンダムでも太陽表面を水蜘蛛でスイスイ歩み、太陽の中に潜る水遁ならぬ太陽遁の術まではやってなかった。

この振り幅は、20年前のおおらかさゆえか……てなことはなくて、現在もガンダムエースでは「犬ガンダム」「ぶよガンダム」「妹ガンダム」だのやってる/やってたわけで、変わらない。
連邦愚連隊とかだって、パロディだよなぁ実質。

「Gの影忍」に比べると、まだかわいいのかも。

Gの影忍 (電撃コミックス)Gの影忍 (電撃コミックス)
(2005/03/26)
こやま 基夫

商品詳細を見る

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

少年マンガだからな!「バクマン。」(小畑健・大場つぐみ)4
2009/08/16 [Sun]10:07
連載獲得に向けて一直線の第4巻。

小さな目標、課題をクリアして行って、一歩ずつ進む。
なんという実直な漫画だ。

主人公たちに十分な才能はあるが、それは作中で絶対的ではない。
おじさんの仕事場に秘密兵器のようなモノ(アイデア集とか)があるわけでもなく、それこそ漫画的に「サイコーが魂を込めた絵を描くとみんな問答無用で感動する」とか、特殊能力があるわけでもない。
おじさんの亡霊が教えてくれるとかな(笑)。

若さに任せて徹夜し、編集者の用意した資料を参照する。
そもそも原作と作画の分業で、さらに資料スタッフも分かれる。
天才でもなんでもなく、泥臭く努力している姿は、よくあるような気もするがなんだか久しぶりに読んだような。

やるべきことをやった人間が報われるのは、気持ちいいな。
なにやってもダメだけどひとつだけ光る才能があって、それでなんとかなってしまうシンデレラストーリーじゃないんだよ。真面目に頑張ってる。

その過程も失敗も描かれているし、悲運に泣くこともある。
もちろん主人公たちが4巻で一定の目標を達成できたのは、運が良かったこともあるよな。ライバルよりも誌面と相性がよかったというだけだ、とも取れる。

目標のためには手段を選ばない。
ライバルたちより頭ひとつ抜けたのは、ライバルたちがまだ手段(漫画を描くことそのもの)に拘泥しているからだな。ましてやコージーなんてさ。
サイコーとシュージンは連載奪取のことをより純粋に考えている。

だから勝てた。これほど腑に落ちて、気持ちいい展開もないぜ。王道だ。古くさいほどの王道だ。

理屈をこねて、連載のために着実に進んでいるつもりでも、結局は自分の信じる漫画しか描けない、出せないってことも裏にあるのかもな。

んー。ジャンプってこんなガツンと来る漫画、載ってるのか。さすが。

バクマン。 4 (ジャンプコミックス)バクマン。 4 (ジャンプコミックス)
(2009/08/04)
大場 つぐみ

商品詳細を見る



テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

じゃあ続けようか「3月のライオン」(羽海野チカ)3
2009/08/15 [Sat]09:19
相変わらず賑やかな誌面だ。モノローグが目に飛び込んで来る。

本気で将棋と向き合おうとした桐山くん、試練の巻。
そうだよなぁ。あのまま天才ぶりを発揮してしまったら、成長譚にならない。
「目覚めろ、俺の棋力!」で済んだら物語は要りませんよ。

帯にも「充実の第3巻」とあるが、まさに充実。
逆にいうと、桐山君の孤独や生き甲斐、お義父さん、実家などのテーマは一向に進まない。

そうだよなぁ。将棋に前からぶつかったらなんでも解決してしまったら、ドラマにならない。
「将棋があるから僕は僕なんだ!」で済んだら伏線は要りませんよ。

焦った末に迷走し、「本当に将棋でいいのか?」と迷うのは男の子だからかな。
無自覚に、無邪気に「将棋で生きる!」と割り切れたらどんなに楽だろう。


で、ここからようやく、本道のようだ。
恋愛と将棋の両方で、軽く自分を凌駕する大人の男が目標となっている。
本当に目標はソコでいいのか?
とりあえず、居所を見つける、確保するところから。
じっくりしてるなぁ。やはり充実の3巻だ。


ところで、テンペストは「嵐」の意味なんだけど、封印の静穏さとはまた違うような。
T田氏、嵐をもって暴走を鎮めるって意味、か?

3月のライオン 3 (ジェッツコミックス)3月のライオン 3 (ジェッツコミックス)
(2009/08/12)
羽海野 チカ

商品詳細を見る

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

朝日がネトネトと昇る「空の巻き貝」(逆柱いみり)
2009/08/14 [Fri]15:13
漫画では「はたらくカッパ」から実に4年ぶりの新作。
その間も、ビリケン商会の「脳内怪獣リゾート」でソフビ作って漫画冊子も付けてるわけで、造形作家で、漫画家で、音楽家(漏電銀座)なのだよな。

今回はカッパが主役では出てこず、風景の中にいる。
主人公の少年2人は(一方は巻き貝の子どもなのかなんなのか)が旅をするという、展開のある話だ。始まりがあって終わりがあって、結ぶスジがある。
妄想、幻想的な寄り道もあるけど、ちゃんと少年たちは成長、変化して、家に帰ってくるのだ。
(わかりやすくムケたりイタシたり、ダメな大人が出て来たりという通過儀礼もある)

単純に子どもと大人の二元で深読みしてもしょうがないんだけど。
子どものころ、巻き貝で空を飛んでる序盤は、空は青く(漫画表現的には白くヌケてる)、少年たちは気ままなのだけど、刑務所を経てからは空はドンヨリ(漫画的にはベタ)しているのだな。
でも自分の意思とは関係なく黒い大人の世界に出てしまった彼らが、臍の緒(電話)で故郷に戻るなんて、子どもへの回帰と読んでしまうよなぁ。

(作者の画集が『臍の緒街道』だから、臍の緒ってフレーズが好きなだけかもね)

生家にはあの醜い親、大人はもういない。
自分たちを大人にし上げた女性もいない。

ムケたナニをぶら下げて、ハイソックス(いいとこの坊ちゃんの象徴だそうな)履いて、寝る。ゆったり寝る。
でも巻き貝(貝類ってのも女性的だよねー)は、しつこく少年たちをいじりに来るのだった。

そういう漫画だ。
解釈してもしなくても、どうでもいいか。

みぎわパンの妄想をタネに、作者の中の大人が書いた新作ではないだろうか。
物語を書いてしまいそうな自分を抑える必要が出て来たのかな。

怪獣造型の方で、妄想のみ、表現したいものだけを出せる環境ができたから、漫画に対してちょっとスタンスが変わったのかも。

逆柱いみり作品としては、現状では異色。これからはどうなるか。
未読の人は、これだけを読むのはもったいない。
「はたらくカッパ」以前へと遡って行くのも面白いかもね。


空の巻き貝空の巻き貝
(2009/07)
逆柱 いみり

商品詳細を見る


テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

芸術に進歩はない「漫画原論」(四方田犬彦)
2009/08/13 [Thu]09:51
いつか読みたいなーと思ってた本を読む。もっと早く読むべきだった。

コマ割、フキダシ(風船)、オノマトペ、効果線、目鼻口、人物のコードなど、漫画の読み方について基本がわかる。
知らなくても漫画は読めるけど、文庫やら古書やら復刻やらで時系列バラバラに読む現実の漫画読み事情からすると、描かれ方の特徴を知れてよかった。
なんというか、自転車の仕組みを知ってから乗ると、サイクリングが楽しくなる・・・こともない人もいると思うけど。

水木作品に漂うアレが「妖気」と呼ばれるもので、それがコマの中の停滞を示し、作者の提唱する急激な成長への抵抗だとか、知ってから読めば「いつものプァー」だとは思わないわけだ。

90年代の本だけど、原論だけあって、文中で指摘、例示されてる作品以外でも、ごく最近の作品でもあてはめられそうな視座なのよな。
読んでいて「あだち充の顔のコードってどんなかな」とか「石ノ森における「ハインリヒ顔」の位置づけってどうなんだ」とか考えてしまう。
(そこでちゃんとリサーチすればなおよろしいのだろうが)

いまどきコマをぶち破ってアクションの勢いを描くのもなさそうだったり、新登場のキャラのぶち抜き&キリヌキ可能なお披露目とか、新しい(のか?)こともあるとは思うが、まずはこの一冊を読んでからソコを感じよう、みたいなね。


読んでいて諏訪緑の「玄奘西域記」を読みたくなった。探そう。

漫画原論 (ちくま学芸文庫)漫画原論 (ちくま学芸文庫)
(1999/04)
四方田 犬彦

商品詳細を見る

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

中に何がいた?「闇の鴬」(諸星大二郎)
2009/08/12 [Wed]09:16
単行本未収録作の傑作選とのことで、ゲーム「SIREN2」の解説本に掲載した作品まで載っている。
ゲームと漫画が直接関係ないので、発注した人の趣味だろうな。
作品が誕生するのはうれしいが、制作物としてどうなの、という気もする。

表題作の「闇の鴬」は、コンピュータ少年と山姥(てか、原始の女神だぜ、あの人)の対決。
対決はゲーム上だし、どちらかを滅ぼすのが目的でもなく、山と人間の生活をどうするかという価値観対決。
なのでそこそこ奥ゆかしい。山姥にしても和服でコンピュータをパチパチやってるんだもんなぁ。
少年側が桃太郎っぽくもあったのだけど、あまり関係なかった。

いつもの、めくるめくキーワードが重なってつながってのカタルシスはないのが逆に意外。
普通に幻想的な作品になってる。ウンチクがあまり作用してない。


「書き損じのある妖怪絵巻」や「涸れ川」はおなじみの作風で、ウンチクの薄い諸星を読みたい!と思って買った読者にザクっと刺さりそう。

そうだな。ウンチクが薄めなんだ。この作品集は。
大いなる時の中で、人間があーだこーだしている。その伝承を見てきた、聞いてきたかのようにつむいでるのは作者自身である。

なにしろ20年くらいの時をはさんで、変わらない絵柄と作風の作品が同居しているのだから。
半ば廃墟のマンションの一室(外は都市だけど人影はない)で、悠久の漫画を描いてる作者が浮かんだ。
あなたがもう妖怪、精霊だよ。

闇の鶯 (KCデラックス)闇の鶯 (KCデラックス)
(2009/04/23)
諸星 大二郎

商品詳細を見る

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック

鳥たちはぼくを受け入れた「私家版鳥類図譜」(諸星大二郎)
2009/08/11 [Tue]09:24
鳥の姿かたちは、全体も顔も奇妙で好きなんだけど、そういえば買ってなかった。

タイトルがあっさりしすぎてるんだよな。もうちょっとソソる感じじゃないと。
諸星漫画なので、普通に鳥を扱うはずもない。
そもそも漫画で鳥を普通に扱うってのは、なんだ。シートン動物記みたいなのか。

で、内容は伝奇もの、古代史もの、SFもの、ホラー。おなじみの諸星漫画に鳥をからめてある。
これらのジャンルだと安心して読めるし、作者もお手の物ではないか。
あえて、鳥というテーマを条件(制約)として書いてみようという、大師匠の技を読む印象もある。


好きなのは小ネタ頻出の「鵬の墜落」かな。
いろんな鳥が出てきてにぎやかであるし、なにしろ人間が生まれる前の話なのに人間が生んだ故事成語で鳥たちがやりあうという、くすぐりがいい。それでいてスケールはでかいという。
しかし、ネタとしては鳥をいかに使うか、という技巧が目立つかな。

雰囲気で好きなのは「塔を飛ぶ鳥」。
地上には住めない疎外感を鳥に託して、人を重ねる。
厭世的な気分を満たしてくれるが、鳥でもないのに虚空に憧れる危うさと愚かさもきっちり突いてる。


漫画読み歴としては遅ればせながら、諸星にハマりつつあるなぁ。
ハズれのない作者。

私家版鳥類図譜 (KCデラックス)私家版鳥類図譜 (KCデラックス)
(2003/03)
諸星 大二郎

商品詳細を見る

テーマ:今日読んだマンガは? - ジャンル:アニメ・コミック


ComicDash

コミックダッシュ! dukimochi の所有コミック

週刊マンガ日本史

週刊マンガ日本史

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。