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未来が存在する限り「EDEN」(遠藤浩輝)9-18
2008/12/23 [Tue]09:00
サブタイトルは「It's an Endless World!」。終わらない世界の終末期を読み終わった。

マーヤとコロイドの提案する情報になって溶け合おうよの世界と、地球の上で肉体や欲望と向き合って生きていこうよの世界って、対立している。
ん、だよな。と、ふと考えたりして。情報世界は逃げ道として待っていればいいはずだ。作品中では卵子を迎えるタイミングに合わせて急いでいた訳だけど、そうじゃなかったら、もっちょいまったり「こっちに逃げてもいいよ」の選択肢として情報世界が用意されてたら、それは幸せなんじゃないかな。

でもだいたい、大乗の救いのような顔してるけど、脳死したら合流できない、早めに自主的な参加を求めますなんてノリがうさんくさい宗教なんだよ。
それじゃ全人類はついてこないぜ、マーヤ。豊かな人、目的がある人は来ない。
もう人類の歴史をまるごと保存しちゃってるから、安心してこっちに委ねてくれという大風呂敷じゃないとな。

それは「マップス」のブゥアーなんだけど、ってそうだよ。この情報になって次世代に向けてぶっ放すエネルギーにってさ、「マップス」だ。
あっちよりも冷静で、世界があきらめているのは地球にへばりついた存在だからだ。勇者のいない地球は、絶望ともがきで埋め尽くされている。

でも宇宙規模SFじゃなくて、とことん地道なテクノロジーでコロイドや気候変動に立ち向かってる旧人類はかっこいい。絶望的ではあるが、こちらを応援したい自分はまだ人生に希望を持っているんだなと思う。
もちろん作中の災害の当事者じゃないからだが。


ともあれ、エリヤの無力感はエヴァのシンジ同様に、勇者不在の物語の主人公らしい。選ばれたことだけ、父親から譲り受けた条件だけで主人公をやってる、やらされてる苦しみとか、先が見えてるネタバレ世代のむなしさとか、頭でっかちの行動とか、青臭さとか。
共感できちゃって、いやなんだよ。勇者にシンクロさせてくれない漫画。こんなもんですよと、登場人物は目を伏せて落ち着いて語るのみ。
華麗にアクションしても脳をパーンと撃たれて死ぬときは死ぬ。

ああ、でもケンジだけは勇者っぽいんだよな。後半はオリジナルメンバーががんばっている。でもワイクリフやカチュアは、コロイドの中にもいないんだよな。その線引きが意識されるから、読んでいても「コロイドに入ればOK」とは思えない。

正直、ミッションクリア形式のアクションゲームのような展開や、麻薬と娼婦の裏社会抗争のところは飽きそうになってたんだが、そういう横道での絶望や絶命が、コロイドへ誘うものでもあるのだよな。

長編ならではの、揺り戻し。
そして作品を通じて見えるのは、思考実験を仮想の地球上でやってのけた神たる作者の恐ろしさ。何人殺したんだ。
でも自らも「直接的な性描写」を自覚し、巧みな格闘技描写を得意とし、サイボーグ技術も大いに描き込んだ。これは、自らが設定した脱肉体の大テーマに対して、身体表現大好き作家が自問自答で挑んだ作品だな。

完結してからの一気読みだからか、個々のキャラや出来事への思い入れは薄めなんだけど、面白い。08年の作品として年末に間に合ってよかった。

EDEN 18―It’s an Endless World (18) (アフタヌーンKC)EDEN 18―It’s an Endless World (18) (アフタヌーンKC)
(2008/07/23)
遠藤 浩輝

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