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預言者になりたかった「ペルセポリス1 イランの少女マルジ」
2009/03/03 [Tue]09:49
アレクサンドロスを読んで、ペルシャって絨毯やなんかで知ってるけど今はイランだし、アラブでどんな位置づけなんだろうという疑問から読んでみる。
ちゃんと歴史の本を読め、とも思うけどさ、これがきっかけで、ね。

コマ割は9分割ベースで、一ページの大ゴマがたまに出てくるくらいの単調さ。読んでいる方としては基礎知識がないことも手伝って、逐一内容を追っていけて助かる面もある。
なにより、絵が独特のモノトーンで、版画のようにひとコマずつ置いてある重みがある。
これだと一般的な漫画のコマ割では描けないから、ひっくるめて作風ってことだ。

絵柄はかわいいし、人物へのシニカルな視点や自己への言及、世界や歴史や戦争への反応が素直で強烈で面白い。この子、正直やわー。言いたい放題だ。わはは。表現者はこうでなくては。


冒頭の、7世紀にアラブに侵略されたところから自国の認識が始まっている。
そこが歴史の始まりだなんて、すでに悲劇だ。
宗教的な価値観で国中の意思統一が図られ、生活が不自由、不自然になっていく様は、日本でも戦争末期の厳しい頃はそうだったようだから、似ている。
この場合の自然、自由ってのはもちろん西側的な価値観なんだけど、マルジは裕福な家庭で育ち、ヨーロッパに亡命留学もできてるくらいだから、そういう視点になる。

マルジが特別だから偏っている、と見るのを止めてしまってはなおさらに意味がない。
こうして漫画になって、翻訳されて日本に届く表現は、マルジの生い立ちがあればこそ。そこを否定しちゃえば「見えないものは知らない」ことで済んでしまう。

厳格で伝統的で、ときにルナティックとかそういう印象でアラブってか中東全体をイメージしているが、こういう普通の女性が生きていたんだと、当たり前なんだが。

これを読んだ上で、イラク、アラブ側の話も読んでみたいなーと思いながら2巻へ。

ペルセポリスI イランの少女マルジペルセポリスI イランの少女マルジ
(2005/06/13)
マルジャン・サトラピ

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