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わたし木登り大好き「枇杷の樹の下で」(ユズキカズ)
2010/02/24 [Wed]09:06
絵柄の雰囲気に惹かれて読む。緻密なんだけど揺れというかブレのある線っていいよね。

あとがきでは「庭と植物が出てくる作品集」として編集されたとあるが、もうひとつ少女、女の子も出てくる。
もう一冊の方を読んでみないとわからないが、女の子はいうまでもなく出てくる要素なのかもしれない。

絵柄からの期待感どおり、だるそうな女の子と庭が出てくる。
だるそうだと感じてしまうのは、作中がまったくハレを描かないからで、友達が遊びに来ようが海へ行こうが映画を見ようが、マイペースなんである。
マクワウリを放りながらとか、気持ちよくて放尿するとか、なんとも開放されている……なんてかな、見られている意識が低い人たちが出てくる。
足の組み方も、後ろ姿も、寝転がり方もおおざっぱ。ケンカの仕方も。
でも思えば子どものころって感情がぶわっと襲ってきてそのまま動くよなぁ。

カメラも覗き見っぽい。覗き見なんだね、視点が。
見知らぬ少女と、開放的な庭の様子を、観察する。エロくはないんだけど、手の届かなさにモヤモヤする。田舎っぽい風景とこの距離はいい具合。

(最後に収録されてる「ヘチマ娘危機一髪」で、主人公が覗き見する側になるんだけど、それまでの読み心地とは違ってわりと「普通」に近くなっているんだよな)

表題作の「枇杷の樹の下で」と「黄金時代」は、あれよと幻覚症状のような事態にもなってしまって、そこも面白い。
距離をおいて覗き見しているんだから、正確に事態を捉えている気分で読んでいる。でも作中は幻覚のようだ。
ということは自分が幻覚を見ている。その感じ。

機会があればまた読みたい作家。まとめて読むと飽きてしまいそうで、もったいないね。

枇杷の樹の下で枇杷の樹の下で
(2001/09)
ユズキ カズ

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