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夜が明ける「天顕祭」(白井弓子)
2010/03/10 [Wed]09:59
新作「ウームズ」の話題を耳にして、じゃあ一冊完結の前作から読んでみようと購入。
古書店で見つけたのだけど、同人誌で文化庁メディア芸術祭漫画部門の受賞作だたのか。

読んでみたら、もとは同人誌だとか文化庁とか、気にせずに読めた方がよかったな。
なんの前振りも要らなくて、面白い。絵も洒落てる。ちょっと込み入ってるけど。

汚い戦争とかフカシとか、背景があって、
そこにオロチとクシナダ姫の伝承がのっかって、
さらに鳶職の主人公・真中とヒロインの木島咲の物語が絡む。

ヒロインが実はクシナダ姫に選ばれていて、お祭りで捧げられてしまう流れから人物と伝承、背景が絡んでいくんだけど、
実に自然というか、真中は真中のまま、木島を思うわけだ。
世界を救うとか、街を助けるとか、客観的に残酷な習慣なんて止めようぜって大きく出るんじゃなくて、
木島が大事な仲間だから(もちろん恋心もある)、行動する。

等身大の立ち位置がかっこいいなぁ。

逆に伝承を守るんだという側の人物も狂信的でなく、実に自然に焦り恐れ、祭りを重んじていて、
本当にオロチだのスサノオだのって世界が、夢の中のような気もする。
夢と現の行き来で惑わせてくれる展開が、一個人と伝承世界の距離としていい。

世界がまとまっていて、すごく「これを描く」ことが最初から最後まで一貫されているような、完成度というとパーフェクトくさくて違うんだけど、統一感、塊の創作欲なのか。

こういう作品が編集者なしで生まれてしまうのか……。
例外的な才能だろうけど、同人誌の環境、市場があるのが日本なのかな。
漫画編集者の人は、この作品を読んで直すとか指示するところがあるのかないのか。
(素人には気づきにくい欠点や改善点があるものなの?)

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(2008/07/26)
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